
ここ数日暖かい。この季節の変わり目は、単なる温度変化では捉えられない匂いを伴う。
季節の変化。あらゆるものの変化。あるものとあるものの狭間、合流するところには常に何かが宿る。季節の変わり目には、それ独特の匂いを伴って、気持ちに、心に、何かが訪れるような経験をする。それは、あるものが虚脱してふっと楽になったり、反対に闇に落ちたり魔が射したりという仕方で、我々に訪れるのだ。
さてそんな三月。その頭に、またもや帰省した。明日香。
帰省して、古い家に入ると、いつか見た雛飾りがしばらくぶりに備えてあった。一見して、当時の思い出で頭を殴られた感じ。
立派。
決して裕福ではなかったろう。
しかし無理をして、愛情のみを支払いの担保に購入した。
ゆったりとした時間も流れてはいなかっただろう。
子を想う気持ちが時間を相対化してせっせと飾りつけに駆り立てた。
さてどんな思いで。
しかしあえて聞かない。それが親子のルール。これからもほどよく相対するための一線である。いつの日か感謝の全てをとも思うが、そんな日は決して訪れて欲しくないとも思うのである。
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