夕刻ご依頼者から事件の進捗についてのお叱りを受ける。関係者にも迷惑をかける。反省した。
総じていえることは、我々はどうしても法律事務の供給者としての眼に慣らされる。
ご依頼者にとって掛け替えのない人生の一大事であることについての想像力は、私にとっての一つ一つの仕事が、いかにしても日々繰り返される業務のひとつであるという歴然とした事実の前に、齟齬し、かすみがちになる。
日常の中で鈍感になり、驕りを生じ、怠惰が襲い、様々な出来事を持ちだして正当化するという、この人間の本源的な欲求に対して、敏感であること、そしてそれにとどまらずいかに敵対し、抗していくかということが、人間の価値を決める。人類普遍のテーゼである。
お叱り。
ふっと我に返ったような気持。言い換えると、感謝せざるを得なないような気がした(さりとて喜びの感情などとは全く違うものであるが)。この気付きもひとつの幸福か。
ご依頼者の不幸から、ある意味での幸せを得るという不謹慎な誤謬を、正しい清流にかえるのは、それは自分しかいないのだと思う。
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