事務所の前に降りて来る予定の駅前の橋梁工事が進んでいます。前にもご紹介したものです。建築の専門家ではないので,ぱっと見た感じ,今どの工程を進捗しているのかわかりませんが,平日は連日工事です。
この橋梁工事については,現在奈良地裁で行政訴訟が継続中です。詳細は知らないし,また控えますが,なかなか難しい問題です。
この王寺町の工事はちょっと置くとして,開発というものは本当に難しい。国土を物理的に変形させ,そこに人や物の流れを作るのが開発だから,当然従来の社会関係は変化するし,変化させるのが開発である。
どんな開発でも,その大小こそあれ,それによって直接の便益が提供されるものがいる。だから開発をするのだ。また,間接に便益を提供されるものがいる。これには純経済的な波及効果もあれば,またその開発がなされることによって得られる町のイメージその他無形の価値が間接に社会に益を提供することもある。
反面,周辺環境の変化によって,直接間接に不利益を被るものがある。幹線道路が地域の真ん中に敷かれることによって,地域が分断し,現在まで活発に為されていた人や物の流れが遮断されるような場合が典型的である。
開発は難しい。人間社会のみを考慮の対象としたとしても,全てのものに便益を提供し,弊害を全く生じさせない開発などはありえないからだ。
では,便益を得るものと,損害を被るものの利害が対立する場合どう判断するのか。
これはやはり,その開発がなされることによって得られる直接間接の利益と,同じくその開発がなされることによって失われる利益とのバランスを考量し,利益が損失を上回る場合には,その開発は是とされるのでしょう。
ではどうやってその難しい利益考量をとにかく一義的に判断するのか。個別の利益考量をどのように迅速に判断するのか。
それはやはり法律です。法律,すなわち各種の開発法規は,国民の一般意思を反映したものとして,開発の進め方を規定しています。この法に則って進められる開発は,とりあえずは正しい,いや問題ないものとして考えられる。私人が行う開発であればそうです。
行政が行う開発の場合には,その行政区画を組成する人々の税金が支出されるので,開発法規に則って行われるのは当然として,そもそも開発が全体の利益につながるか否かについて,議会の議決を得なければならない。皆が,いやより多くの人が,その開発をしたほうがよい!と思わねばならない。代議士の投票は,その皆の意思を反映したものである,そのように,現在のシステムではなっているわけです。
以上すなわち,難しい利益考量は個別にはできないから,法律や議会の意思決定によって開発は進められる。ただ,その開発によって,私法上の権利が著しく害されたり,人権が害されるような場合には,それぞれ個別の救済がなされるのは当然です。もっとも,これについても一定の判断基準があり,すべての権利侵害が,「完全に」救済されることなどありえないわけですが。
さて,開発が難しいのは日本有史以来公知の事実ですが,では,もうちょっと大きな話として,これからの日本や,住まう地域は,どんな風になっていけばいいと思いますか?皆さん。
長くなってきたので,これについては次回に。
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