自己破産減少あれこれ。
午前中のつづきです。
私の事務所では,多重債務の整理に関する仕事をよく扱っているので,その分野のことについて今日は少しお話します。
皆さん聞いたことがあるでしょうか。近年増加の一途をたどっていた自己破産申立の件数が減少に転じていることについて。統計によると,1994年以来増え続けていた自己破産申立が,2004年は10年ぶりに減少に転じて,年間21万件そこそことなったようです。 それでも三年連続で年間20万件の申立があるのですから相当なものですが,自己破産についていえばピークを打ったことは間違いないようで,話によると今年2005年は15万件程度になるのではないかと言われています。
一部政府やシンクタンクによると,これは景気回復の証左だ,などと文字通り「景気のいい」政治的評価も見受けられるようですが,果たしてどうなのかなと思ってしまいます。 最高裁の担当者も,これについて,「複合的な原因が考えられ,何とも言えない」というようなコメントを出していたようですが。
自己破産減少について,先の前者を仮に景気回復説,後者を仮に複合説と呼ぶとするならば,私は複合説によって現象を認識している方です。 では具体的に,自己破産減少の原因について,私なりに分析するならば以下のようになります。景気回復という要素以外について述べてみます。
1 若い弁護士や認定司法書士が,業として積極的に,任意整理という債務整理を行うようになり,今まで自己破産をしていた債務者が,そこに至らず再生(あるいは延命?)できる機会が増えた。
2 貸倒れの増加を食止めたい貸金業者が,法律家介入の前段階として,積極的に利息のみの返済を受入れたり,返済条件の緩和に応じるようになった。また,貸金業協会が債務整理を積極的に行うようになった。これによって,債務者が一直線に自己破産に至らず,踊り場で滞留しているものと思われる。
3 2001年頃から,テレビコマーシャルをバックに貸金業者の貸付残高競争が激化し,各社ともに従来比でより信用力のない客層を一気に顧客にしたため,それらの層が間もなくまとまって自己破産に転じた。 ここのところ,貸金業者の貸付け審査は比較的(あくまで比較的)厳格化傾向にあるので,直ちに自己破産に至る層は一定の法的消化を経た。
4 1993年から始まった,景気浮揚策の一環である住宅金融公庫のゆとりローン(借入後5年を経過すると,毎月の返済額が著しく増加する制度)を利用して住宅を購入した層が,思うように給料が増えなかったりボーナスがカットされたりして住宅ローンの支払不能に陥り,その後サラ金債務等についても支払不能に至った。 近年住宅金融公庫は,ゆとりローンについて,6年目からの毎月の支払額を減らし,将来に繰延べるという救済策ととっているので,いわゆる住宅ローン破産が一定程度押さえられている。
他にも細かい原因はいくつか考えられますが,大きなものはこの程度かと思います。どうでしょうか,皆さんはいかが考えられるでしょうか。
ところで,自己破産申立件数の減少の原因についてあれこれ考えるだけでなく,一見その対局にあるように思われる,海外旅行者数の増加や,高額の消費が増加していることなどと併せて考えてみると,現在の日本社会について,いろいろな仮説を立てることが出来て面白いと思います。
そのためのデータは,リンクのシンクタンク各社のレポートや,インターネット上に無数に転がっています。
しかしそれにしても,プロのデータに加えて,一般人からネット上に寄せられる生のデータをもとに素直に検討してみるならば,現在の日本の状況について何か直感的にではあるが違和感を覚えざるを得ず,よくわからないが悪い方向に向かっているような気がします。
財政がどうとか,年金がどうとか,経済の構造的な問題がどうとか,あるいは,右とか左とかといった事ではなくて,何かこうもっと根本的なところで,,,うーん。うまく説明出来ないんですが。
これが気のせいであってほしく思うので,少なくとも自分の人生だけは,正しいと思える方向に正しい努力をし,前向きに歩んでいこうと思います。
あ,思うままに書いていたら,もう日付がかわり,31日になってしまいました。結局何の話だったっけ。
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